私が席を外すと、チームが止まった ― チーム・パフォーマンスドメインは「任せ方」の仕組み化

タスクの割り振りを全部自分で握り、一つひとつ指示を出す。丁寧に管理しているつもりだった——でも実態は、私が指示を出さないとチームが止まる状態。会議で席を外すと、手が空いたメンバーが「次、何をすれば?」と待っている。私自身がボトルネックでした。この記事では、この状態をどう抜け出したかから始めて、8つのパフォーマンスドメインの二つ目「チーム」を、原則②との違いにも触れながら書きます。

この記事でわかること

  • PMが逐一指示しなくても回る、自律的なチーム運営の仕組み化
  • チーム「ドメイン」が、原則②「チーム」とどう違うのか
  • チームの状態を「なんとなく」で終わらせず、見える化する視点

SIerでPMをしている筆者が、PMP学び直しの視点で「任せ方」の失敗と工夫を振り返って書いています。

はじめに言葉だけ。チーム・パフォーマンスドメインが指すのは、プロジェクトの間ずっと、チームが力を発揮し続けられるように運営し、その状態を保ち続ける活動です。原則②「チーム」が語るのは「あり方」(協働や心理的安全性を大切にする考え方)でしたが、ドメインは「それを日々の運営でどう回すか」という実務に踏み込みます。良いチーム観を持つのが原則、それを仕組みとして動かすのがドメインです。

「自分が全部割り振る」をやめた話

リーダーに成り立ての頃、ある小規模なプロジェクトで、私はタスクの割り振りをすべて自分で握っていました。誰が何をやるか、次に何に着手するか、一つひとつ私が指示を出す。丁寧に管理しているつもりでした。でも実態は、私が指示を出さないとチームが止まる状態。私が会議で席を外すと、手が空いたメンバーが「次、何をすれば?」と待ってしまう。私自身がボトルネックだったのです。

そこで、運営のやり方を変えました。まず、タスクを一枚のボードに全部見えるようにして、「着手中は一人◯件まで」という緩いルールだけ決め、手が空いた人は自分で次のタスクを取る「プル型」に切り替えました。加えて、毎朝15分だけ「昨日終わったこと・今日やること・困っていること」を各自が共有する場を固定化。私はそこで交通整理をするだけにして、割り振りの権限は手放しました。

最初はぎこちなかったのですが、二週間もすると、メンバーが自分で優先順位を判断して動くようになりました。私が席を外しても、チームは止まりません。さらに、この朝の共有を続けるうちに、「最近ちょっと停滞している人」や「抱え込みがちなタスク」が早めに見えるようになりました。チームの状態が、勘ではなく日々の運用の中で見えるようになったのです。私がやったのは、指示を増やすことではなく、チームが自分で動ける仕組みを一つ用意したことでした。

しっかり管理する=細かく指示することだと思っていた

かつての私は、「しっかり管理する=細かく指示を出すこと」だと思い込んでいました。指示が細かいほど、良いマネジメントだと信じていたのです。

でも、細かく指示するほど、チームは受け身になります。自律的なチームとは、放任されたチームではありません。判断できる「範囲」と、情報が流れる「仕組み」が用意されているからこそ、メンバーは安心して自分で動けます。管理を手放すのではなく、「仕組みに置き換える」。そこを取り違えると、丸投げか、マイクロマネジメントかの両極端に振れてしまいます。

なぜ「気持ち」だけではチームは回らないのか

良いチームを作りたい、という気持ちだけでは、チームは動き続けません。誰がどう判断し、どうタスクが流れ、どう困りごとが拾われるか。その「回し方」が決まっていないと、結局すべてがPMの号令頼みになります。号令が届く範囲でしか動けないチームは、PMの負荷とともに頭打ちになります。だから、運営を仕組みに落とすことが必要なのです。

今は必ずやっていること

  • タスクを見える化し、「手が空いたら自分で取る」プル型の運用に寄せる
  • 判断してよい範囲を明確にし、割り振りの権限を少しずつ手放す
  • チームの状態を勘に頼らず、日々の共有や簡単な指標で見えるようにする

ここでよく迷うところ

Q. 原則②「チーム」とドメイン「チーム」は、結局どう違う?
原則は「どういうチームを目指すか」という考え方、ドメインは「それを日々どう運営するか」という活動です。同じ「チーム」でも、理想を語るか、運用を語るかの違いです。

Q. チームのパフォーマンスは、どう測ればいい?
納品スピードのような成果指標だけでなく、「困りごとが早く上がるか」「手戻りが減っているか」といった過程の兆候も有効です。数値化しづらい部分は、朝会での発言の質を観察するだけでもヒントになります。

最後に

チーム・ドメインとは、良いチーム観を持つことではなく、PMが逐一指示しなくても回る運営の仕組みを作り、その状態を保ち続けることでした。あなたのチームは、あなたが席を外しても動き続けますか? もし止まってしまうなら、指示を増やす前に、「自分で動ける仕組み」を一つ用意してみませんか。

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